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pays des fées

 2023 Autumn/Winter Collection

 [Tabulae AnARTomicae] 

無機質化する身体へのロマンティシズム
 

 デザイナー、りむは以前よりヨーロッパに点在する教会や地下墓地を訪ね、そこに安置されているミイラを見て多くのインスパイアを得てきた。COVID-19を機に、国外への渡航禁止を余儀なくされた彼女は、日本国内に存在するミイラに関心を向け、明治時代までその風習があったという「即身仏」の存在と出会う。「即身仏」とはその名の如く、生きたまま仏になるという仏教における修行の一つである。この世の中が救いに満ちるその日まで永遠の瞑想を行うため、僧侶は自ら土の中に生きたまま籠り、自ら永遠の肉体を得るために幾つかの過程を踏み、瞑想の果てに息を引き取る。そのまま土の中で瞑想を続ける僧侶もいれば、後継者たちがその遺体を掘り起こし、然るべき場所に何百年という歳月、安置されているものもある。彼女は日本各地の現存する即身仏を訪ね、その佇まいや質感に唯一無二の美しさを見出し、その感性を今回のコレクションに落とし込んだ。彼女がとりわけ惹かれたのは、即身仏の無機質化された艶やかな皮膚、朽ちることなく無機質化された血管や筋肉の造形である。自ら永遠の肉体を得ることを選んだ僧侶たちの姿は、皮膚のような加工がなされたベロアや、画家のスズキエイミがテキスタイルに描く、甘美な解剖図とリンクする。彼女がこれまで目にしてきた信仰対象としての「美しい遺体」たちを包み込む、聖なる衣装として、今回のコレクションは構成されている。
コレクションタイトル[Tabulae AnARTomicae]はスズキエイミの造語であり、絵画解体新書の意味を持つ。18世紀に出版された解剖学図譜のタイトルに基づいている。

須藤絢乃・文

Creative director : Lim Asafuji
Textile art work : Eimi Suzuki

Photo : Ayano Sudo
Hair&Make : Chiaki Hino

Lighting operater : Aska Ishii
Movie : Azusa Matsuda

Show Photo : Kaami

Composition Piano Chance Operation : Kei Ookubo 

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